こんにちは、魚屋「中村商店」の仲買人、仲買達人(なかがいたつと)です。
先月末、水色のズワイガニが水揚げされたと話題になりましたね。実は2年前の2021年には鳥取・賀露港近くにある中村商店 かろいち店のすぐ横にある「とっとり賀露かにっこ館」でも青色の松葉がに(ズワイガニ)が展示されました。
青くなる原因はわかりませんが、カニ特有の体の色をつくる赤い色素(アスタキサンチン)の量が少ないそうです。カニは海底で身を守るため、生きている時は通常茶褐色をしています。その色が変化してしまうと外敵から狙われやすくなるため、元気な状態で私たちの目の前に現れてくれること自体がとても稀有なことなのです。生物の神秘を感じます。お近くの水族館などで展示されることがあれば、一度は見てください。
このように色が異なるとすぐに区別はできますが、「松葉がに」と2月のみの漁期の「若松葉がに」は、生簀(いけす)の中で一緒に泳いでいたら区別が難しい…のです。
若松葉がに(ミズガニとも言う)は、松葉がにと同じ雄のズワイガニです。脱皮からの経過時間によって銘柄分けをしています。ズワイガニが脱皮する時期は夏が多いので、脱皮してから6ヶ月程度のカニが店頭に並びます。鳥取では若松葉がには甲羅幅10.5cm以上と漁獲規制があるため、松葉がに(小サイズ)の大きさと比べても大差ありません。
若松葉がにの特徴は、大きく2つ。
(1)カニみそが黒くてシャバシャバ
(2)身が取り出しやすい
成長真っ盛りの、瑞々しいカニです。しかし甲羅の中のミソはそのまま茹でても固まらず、溶け出してしまうため中村商店では茹でる前に外します。松葉がには身がぎっしりと詰まっていますが、若松葉がには脚の筋肉が発達していない分、身はとても取り出しやすいです。
甲羅を含めて身体全体が松葉がにに比べて少し軟らかいので捌きやすく、冷水にさらして刺身にしたり、しゃぶしゃぶするのが嬉しくなります。「松葉がにより甘みを感じる」と言う声もあり、地元では人気です。
資源を守ため、期間限定・数量限定で水揚げされていますが、機会があれば店頭でこれらの違いも見比べていただければと思います。
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