冬の「松葉がに」シーズンが終わり、春を迎えた地元「鳥取・賀露(かろ)港」には、種類豊富な魚が水揚げされるようになりました。沖合い底引き網船のカレイ、ハタハタ、モサエビ、ノドグロ、小型船の近海のハマチ、アジ、サワラ、カサゴ等々、色とりどりの魚がセリ場に所狭しと並び賑わいをみせます。
中でも漁獲量が増え、旬を迎える「ハタハタ」は、皮が薄くなり脂のノリも良く美味しくなります。この時期を待って作られるのが鳥取の郷土料理『ハタハタ寿司』です。甘酢で味付けしたおからを、酢でしめた「ハタハタ」にまぶした保存食で「ハタ寿司」「白ハタ寿司」とも呼ばれます。
賀露地区で4月に行われる春祭りのおもてなし料理として作られ、味付けも各家庭で少しずつ違い受け継がれる味となっています。
当店の作り方を簡単にご紹介します。
(1)ハタハタ:鮮度の良いものを丁寧に下処理した後、塩水に浸けて一晩置く。流水で塩抜きし、酢水に一日半漬ける。
(2)おから:甘酢を加え、弱火で加熱し水分を飛ばしたあと荒熱を取る。乾煎りした麻の実(おのみ)を加える。
(3)(1)と(2)を混ぜ合わせしばらく馴染ませたら、出来上がり。
以上のように、かなり手間ひまのかかることから最近では手作りする家庭が減っています。しかし春の時期になると『ハタハタ寿司』を待ち望んでいる声も多く聞かれ、地元に愛される季節の味だと感じます。
甘酸っぱく味付けされたおからは食物繊維やたんぱく質、ビタミン類が豊富でヘルシー。酢を多く使っているので、疲労回復にもおすすめです。
当店での製造期間は一か月程度と短いため、店頭で見かけたら是非手に取ってみてください。鳥取自慢の隠れた逸品『ハタハタ寿司』を食べてみんさいー
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