実は、それほどの「ワケ」がない?!松葉がにの「訳あり」解説 | 株式会社中村商店
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2023年01月04日実は、それほどの「ワケ」がない?!松葉がにの「訳あり」解説

こんにちは、魚屋「中村商店」の仲買人、仲買達人(なかがいたつと)です。2022年流行語大賞のトップ10に選ばれた「てまえどり」。棚の手前にある賞味期限が近い商品から順番に選んで、食品ロスを削減しようという取組ですね。コンビニエンスストアなどでは「見切り品」の表示も目立つようになりました。

当店(中村商店)で販売している【訳あり】商品は、見切り品とはちょっと「訳」が異なります。生物なので賞味期限はありますが、新鮮さやおいしさはタグ付きに負けません。この「訳」について、今回はご紹介します。

鳥取では「松葉がに」は、「ズワイガニのオスで甲幅10.5cm以上のもの」と、漁獲サイズの自主規制を行なっています。

甲幅10.5cm以上ものの中から、賀露地方卸売市場ではサイズを「大、中、小中、6番、7番、8番、9番」の7規格、そして品質を以下のように分類しています。

※賀露の特徴として、大きいサイズのカニを「立(たて)ガニ」と呼び、1枚売りに。6番以降は、海水を張ったコンテナに20枚ずつ入れ、競りにかけられます。(鳥取県ではカニを1枚、2枚と数えます)

立ガニの分類例

●腹節側のスレ等の有無

(1)きれいなもの
(2)うすヤケ
(3)キズ
※ズワイガニは脱皮して経過時間が長くなるとスレ等で茶褐色となる部分が出ます。それを「うすヤケ」と呼んでいます。

●落ち脚の有無


(1)1本ナシ
(2)2本ナシ
※鳥取県では品質を重視しており、3本以上脚が落ちたカニは販売されません。

●身入り

(1)A
(2)AB
(3)B
(4)ブア

●腹節側の色味

(1)赤
(2)色

●脚の具合

(1)脚の折れ
(2)指黒

●甲羅側の色や傷


(1)黒
(2)甲メゲ
※鳥取の方言で壊れていることを「めげる」と言います。
など、立ガニだけでも船1隻あたりで30~50規格程度が出てくるのです。

6番~9番の分類例

(1)きれいなもの
(2)うすヤケ
(3)落ち脚
(4)最終脱皮後の大爪と最終脱皮前の小爪
(5)甲羅の色や傷
など、立ガニに比べると少し緩やかですが、それでもサイズ4規格×品質7~8規格ほどあります。

このように100種類に近い規格の中から、個々のカニの品質等を見極めて値付けをしていきます。松葉ガニは、生まれてから漁師さんの手によって海中から引き上げられるまでに、脱皮を何度も繰り返し約10年もの時間をかけて海の中で育っています。そのため大きさも見た目も1体1体異なります。もちろん身入りも異なるため、セリは毎回真剣勝負。

当店では、見栄えに少し問題があるけれど、中身には問題がないものを「訳あり」商品用に選んでいます。鮮度も品質も落とさないように取り扱う気持ちはタグ付きと同じです。

大した訳もない「訳あり」ですが、「まえどり」ならぬ「わけどり」でお得にお買い物してください。

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