グルメなお魚、マダラ | 株式会社中村商店
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2022年10月21日グルメなお魚、マダラ

こんにちは、魚屋「中村商店」の仲買人、仲買達人(なかがいたつと)です。

今回はマダラについて話します。鳥取県の沖合底びき網において、マダラは、近年重要度が増している魚種の一つです。2012-21年(直近10年間)の平均漁獲量は、464トン。その漁獲量の約半分は、マダラが深場から大陸棚斜面の上部に上がっているタイミングとなる10月に集中するという特徴があります。

漁師さんの話では、日の出、日没時にマダラの群れが作られるそうです。特に午後から日没にかけての時間帯に多く、魚群形成は魚群探知機に映る赤い粒状の反応で把握できるとのことです。10月の浜田沖から見島沖にかけての海域では、日没時の一網で何千尾と水揚げされることもあり、各船の船頭さんは神経を尖らせて見逃さないように群れを狙っています。

「お腹がいっぱいになる。」という意味の「たらふく」は漢字で「鱈腹」と書きます。これは鱈が雑食性でお腹がパンパンにふくれるほど食べるという習性があることからの当て字だと言われています。マダラは本当に大食漢で、何でも食べます。大きなもので全長120cmにもなります。ウエストは…、ご想像にお任せします。

漁獲される水深がズワイガニの生息水深と重なるため、マダラが増えることでカニが食べられ減ってしまう可能性はないのだろうかと、10月に採集された47尾のマダラの胃の内容物を見たことがあります。その結果、4個体だけでしたが、脱皮直後の雄のズワイガニを各1体ずつ食べていました。結論的には、マダラによるズワイガニの捕食は期間限定で、大した影響ではないと判断されましたが、やはり食べていることが確認できました。

それだけでなく、この時採集した約7割のマダラがえび類を食べており、えび類の中でもクロザコエビ(モサエビ)がその大半を占めていたのです。胃の中からモサエビが5尾出てきたときには、「タラより胃の中のものの方が高いがなっ!!」と、思わずにはいられませんでした。

マダラは下あごの先端に一本のヒゲがありますが、これは一種の感覚器官であり、これで海底の土中に隠れているモサエビ等も見つけ出してしまいます。マダラは海底付近をウロウロしながら、ヒゲで泥をチョンチョンし、餌を見つけては、大きな口でガボっと泥ごと頬張るのでしょうね。

ちなみに、前述以外に胃の内容物として出てきたものは、海底付近の魚であるノロゲンゲ(どぎ)や小型のヒレグロ(やまがれい)でした。本当、多種多様な食材を食べているので栄養満点なわけです。タンパク質やビタミンが豊富です。マダラの身はあっさりとして熱を通しても硬くならないため、様々な料理との相性も良いですね。和風、洋風、中華にエスニック風などどんな味付けにもよく合う魚です。

 

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