アゴが落ちるほど美味しい魚 | 株式会社中村商店
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2022年06月24日アゴが落ちるほど美味しい魚

こんにちは、魚屋「中村商店」の仲買人、仲買達人(なかがいたつと)です。今回はトビウオについて話します。

英語でFlying fish(空飛ぶ魚)と名のついた羽のあるお魚、トビウオ。鳥取では「アゴ」と呼ばれ、5月〜7月に市場に並びます。その呼び名の由来は、「アゴが落ちるほど美味しい魚だから」とも言われているほど、さっぱりと食べやすい青魚です。かつお節や昆布、椎茸や煮干しなどと同じく出汁に使われる、あのアゴです。すっきりとした旨みと独特のコクがある風味の出汁は、皆さんも一度は口にされたことがあるかと思います。

ただひと口に「トビウオ」と言っても実は、日本だけでも30種類は存在し、暖かい海流にのって北上するため、季節は異なりますが、日本各地で生息しています。
鳥取では、ツクシトビウオ(角あご、大目)とホソトビウオ(丸あご、小目)の2種が「初夏を告げる魚」として親しまれています。数え方は1羽、2羽。これは空飛ぶ魚である所以でしょうか。実際は滑空しているわけですが、大きな胸ビレは翼のように見えます。

このようにトビウオは空を飛びますが、それを漁師が鉄砲で撃ち落とすなんてことはしません。ここではトビウオの特性を利用した漁法を2つご紹介します。まずは、伝統的な捕り方の「あごすくい」。夜間に灯火で海面を照らし、水面に上がってきたトビウオをタモですくいます。光に集まる習性を利用した漁法で、観光メニューの一つとして体験していただくことも可能です。

一方、漁師さんが日の出から日没までの間、何度も何度も繰り返されているハードな漁法が、まき網漁法「通称:あごまき」です。「あごまき」は「ぶり板(30cm×6cmの縦長の白い木やプラスチック板)を結んだ綱(ひき綱)漁網を使います。魚が集まりやすそうな海域に漁網やぶり板が円形にぐるりと囲むよう船を動かします。水面で揺れるぶり板でトビウオを脅しながら、ひき綱を絞り、漁網で捕まえます。ぶり板が水面にあたる音や影が、トビウオにとっては天敵の海鳥が近づいてきたように感じるのでしょう。海から飛び出すことができず海中で泳いでいるトビウオを網で捕獲するわけです。1回の操業時間は30分ほどですが、潮の目を判断しながら、夕方近くまで作業が繰り返されます。

海の外にいる海鳥や漁師だけでなく、海の中の天敵からも身を守ために逃げ回っているトビウオは脂質含有量が極めて少なく(1%以下)で高タンパク(含有量20%超え)なお魚です。加工品にも使われ、「あごカツ」なんていう料理も人気があるんですよ。
「あごカツ」とは、トビウオを骨ごとすりつぶして作ったすり身にパン粉をつけてカツにしたもの。皮も身も骨もすり潰すことで、カルシウムも効果的に摂取できます。老若男女にオススメの「あごカツバーガー」、アゴもほっぺも落ちますよ。

あごカツバーガー

(画像参照:tripadvisor)


 

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