青葉若葉を渡る風に夏の気配を感じるようになりました。
江戸時代の頃より「夏座敷とカレイはエンガワ(縁側)がよい」などと言われますが、皆さまはいかがでしょうか。日本家屋の庭先にある縁側。板張りの空間は、夏には部屋に直射日光が入るのを防ぎ、心地よい風を感じることができます。
その形に似ていると名付けられたもう一つの「縁側」とは、カレイ類(マコガレイやヒラメなど)の上下にある鰭(ひれ)を動かす筋肉の総称です。この部分は泳ぐときによく使うため、身が引き締まりコラーゲンが多く含まれています。コリコリっとした食感と旨味で、刺身やお寿司のネタとしても人気です。
他の魚になくて、カレイにあるのがこの「縁側」ですが、他の魚にあってカレイに無いものがあります。
それは、「鰾」です。読めますか? 鰾(うきぶくろ)は、浮袋と書かれることもあるように、内部に気体を含み、浮力を調整する役割がある器官のことです。鰾の中に気体を出し入れすることで、魚は上下左右へと泳ぎます。
しかし、カレイやヒラメには鰾がありません。生まれてしばらくは鰾がありますが、成長するにつれて無くなってしまうのです。海底で生活するため、鰾は必要なくなるのでしょうか。理由は定かではありませんが、鰾がない分、泳ぐ時や海底の砂に潜る時には鰭をしっかりと動かす必要があり、縁側が発達したのだと言われています。
カレイの縁側は、脂ののりが良く、炙ったり、キムチや柚子胡椒などピリッとするものとの相性も抜群です。その他、干物にしても旨味がギュッと凝縮され、ご飯やお酒のお供としてもぴったりです。縁側で1杯!が楽しい季節がまもなくやってきます。
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