延期となっている東京オリンピックがいよいよ今夏、開催されようとしています。われら日本選手が一つでも多くのメダルを獲得されることを期待しています。メダルには「金」、「銀」、「銅」と種類がありますが、実はカニにもあるんです。キラキラと輝く金色のカニが。
皆さんは「黄金ガニ」って聞いた事ありますか?
「黄金ガニ」とは、ズワイガニとベニズワイガニとの交配で生まれた、大変珍しいカニのことを言います。「黄金ガニ」は、オスのズワイガニ(松葉がに)とメスのベニズワイガニとの交配でしか生まれません。メスのズワイガニ(親がに)とオスのベニズワイガニとの交配は絶対といっていいほどありません。
なぜでしょう?
それは、この二種のカニが生息する水深に違いがあるからです。ズワイガニ(オス:松葉がに、メス:親がに)の生息水深は200~400メートルといわれ、オスメスで生息水深は異なり、より浅い水深にはメスが、より深い水深にはオスが分布しています。一方、ベニズワイガニの生息水深は500~2,500メートルといわれています。
生息水深を見る限りではこの二種のカニが出会うチャンスは無さそうに見えますが、前述のとおり深い水深に分布するオスのズワイガニは、まれに600~800メートルくらいまで分布しているのが確認されることがあるそうで、その時に本当にたまたま、偶然に出会えたベニズワイガニのメスと交尾をして、数千枚に1枚の水揚げといわれる超希少な「黄金ガニ」が誕生するのだそうです。
では、逆の組み合わせはどうかといいますと、オスのベニズワイガニは500メートルより浅い水深では生息不可能といわれており、ベニズワイガニのメスと、そもそも出会うことすらできないので、この組み合わせはないのです。
さて、気になる「黄金ガニ」の食味の方はといいますと、松葉がにの「身入りの良さ」とベニズワイガニの「甘み」を兼ね備えた、まさに“いいとこどり”のカニとのこと。お値段の方は、最近はニーズの高まりから価格も高騰しているようで、松葉がによりも高値で取引されることもあるそうです。「黄金ガニ」は、ほぼ100%がオスであり、世代交代をせず、一世代で終了してしまうことも、その希少価値を高める要因になっていると思われます。
この「黄金ガニ」、海底でも岩場を表彰台に見立てて中央に君臨しているかもですね。もし皆さんがカニ売り場で「黄金ガニ」を見かけることがあれば、購入して食してみるのもアリかと思います。どのカニがあなたにとって、金メダルでしょうか?
ちなみに、カニを売って十数年になる筆者は、いまだかつて「黄金ガニ」をまだ一度も食したことは無いのです…(笑)