こんにちは、魚屋「中村商店」の仲買人、仲買達人(なかがいたつと)です。海水浴の季節が近づくと注意喚起が行われる海にいる危険生物たち。しかしその生物が生息しているのは夏だけではありません。今回は、気をつけていただきたい海の危険生物2種をご紹介します。見かけた際はむやみやたらに手を近づけないようお願いします。
猛毒注意の小さなタコ。大きさは10cm程度で岩場や海藻に隠れておとなしそうにしています。刺激を受けると体表に蛍光ブルーの輪「豹(ヒョウ)柄のような紋」が体にたくさん浮かび上がります。英名でブルーリングオクトパスとも呼ばれるこのタコは、ブルーの輪が現れると、威嚇している状態なので要注意。ヒョウ柄のその姿が可愛くて手を出すと、咬みつかれるかもしれません。
唾液にフグと同じ猛毒「テトロドトキシン」をもち、墨は吐きませんが、この毒を海中に吐きだしたり、直接咬みついたりして相手を弱らせます。人間でも咬まれて数分後に体の痺れや言語障害などの症状があらわれ、呼吸困難や麻痺を引き起こし、最悪の場合は死に至ることもあります。
咬まれてしまった場合には、流水を流しながら手で毒を絞り出し、速やかに病院で処置を受けてください。
体表にも毒が含まれていますので、思わず触れたくなる衝動はグッと抑え、決して素手で触れることはしないでくださいね。もちろん食べようなどとは思わないでください。フグとは異なり内臓を除去したとしてもかなり危険です。鳥取県や島根県の浅場でも発見されていますので、ご注意ください。
こちらは打って変わって見るからに触ると痛そうな容姿をしています。咬まれることはありませんが、背びれの棘が要注意です。この棘には毒が蓄えられています。細くて鋭いので毒針のよう。刺されると激痛に襲われます。幸い今まで刺されたことはありませんが、漁師さんや同僚によると、その刺された時の痛みと疼きは…、聞くだけで痛いです。20cm程度の大きさで黒や茶褐色の岩のような色をしているオニオコゼ。普段は動き回ることなく、藻や岩陰に潜み、小魚などの獲物がやってくるのを待ち伏せしています。その姿は岩やサンゴと見分けがつきません。水深1mもない砂地などに潜んでいることもあるので、踏んでしまわないよう注意が必要です。棘は厚手のゴム手袋でも貫通してしまいます。
昨年(2022年)、賀露港の漁師さんが全身オレンジ色のオニオコゼを見つけられました。これだけ目立っていれば踏んでしまうこともないのですが、これは珍しいこと。近所の「とっとり賀露かにっこ館」で展示されて、ちょっと話題になりました。
オニオコゼの毒は熱に弱いので、棘を取り除き傷口を流水で洗い、お湯につけると良いと言われていますが、刺された時は出来るだけ早く病院で処置を受けてください。痛みだけでなく想像以上に腫れ上ります。コリコリとした歯応えに甘みのある白身のオニオコゼは食材として人気がありますが、背びれの棘は16本もあり、死んでいても毒は存在しますので、絶対に素手で触らないでくださいね。