ノリもウケも良い魚 | 株式会社中村商店
あげ・そげ・こげ あげ・そげ・こげ

あげ・そげ・こげMEDIA

2022年09月23日ノリもウケも良い魚

こんにちは、魚屋「中村商店」の仲買人、仲買達人(なかがいたつと)です。

今回はアカムツについて話します。日本海側での呼び名「ノドグロ」と言った方がイメージしやすい魚かもしれませんね。2014年の全米オープンで準優勝したテニスプレーヤー 錦織圭選手が帰国直後の会見で「ノドグロが食べたい」と発言したことで全国的に知られる呼び名となりました。そして名前だけでなく、その美味しさに気づいてしまわれた皆さまに支えられ、今や超が付くほどの高級魚として地歩を固めています。

以前は我が家でも、ちょっとした祝い事など「ハレの日」の魚として、良い形のノドグロが食卓に並ぶこともありましたが、今では我が家の食卓上では絶滅危惧種指定となってしまいました。

実際に市場単価は非常に高く、この人気を受け大型のノドグロだけでなく、小型サイズのノドグロのニーズが高まり、従来の加工品から寿司商材といった生鮮用の食材にも使われるようになりました。ノドグロは成長が遅い魚で、20cmぐらいに成長するのに3年ほどかかります。成熟も雄が3歳、雌が3~4歳と遅く、若齢魚の漁獲は資源状態を悪くする一因となってしまうのではないかと危惧しています。ただ、日本海のアカムツ資源は、現状のところ好調を維持しています。

ノドグロの人気のポイントはやはり旨味あふれる脂の乗りでしょうか。口に含むと、とろけます。

今回はその「脂乗り」に関する資料「島根県周辺海域で漁獲されたアカムツ総脂質含有量の季節変動と個体差(清川ら, 2007)の結果」を抜粋しながら、自分の意見を述べていきます。

結果(1)沖底の方が九州地方の延縄や釣りの魚より脂が乗っている
島根県の沖底の漁師さんから「泥場の方が瀬付きのノドグロより脂が乗っている。」という話を聞いたことがあります。延縄や釣りでは瀬際の漁場を中心に漁獲しますので、これが結果に表れたものと考えます。また、泥場の方が脂乗りが良いという理由は、餌に起因していると思います。

結果(2)魚体重が重いほど、脂乗りが良い
沖底もののノドグロでは350g以上で平均25%を超える脂乗りと、大きい個体ほど脂乗りが良い傾向があります。

結果(3)白っぽい魚ほど脂が乗っていると通説は証明できず
同じく島根県の漁師さんから、「ノドグロは、白く鱗が剝がれたような魚が、脂が乗っている。」と聞いたことがあります。島根県の調査では分光色差計で体色の白さと脂乗りを見ていますが、個体差が大きく、産卵期(秋)の脂質含有量の低下などで、相関は見られませんでした。

ただ、相関を表すグラフは山なりの形状(体色が赤:脂質含有量が少ない → ピンク:脂が多い → 白っぽい:脂質含有量が低下)の結果が出ています。実は、この形こそ真実を伝えていると思います。対馬西方の脂乗りが非常に良い漁場のノドグロの体色はピンクだそうです。このため、あながち漁師さんの通説は間違いではなく、皆さまにとってもご購入の際、参考になるポイントだと思います。

どのノドグロが良いか迷われた際は、当店(中村商店)へお気軽にお声がけください。

TO PAGE TOP