松葉がにの漁期も、いよいよ残り10日を切りました。去り行くカニを惜しみつつ、今回は賀露の港でカニと一緒に水揚げされる、かなりマイナーなお魚を紹介しようと思います。
その名は「ドギ」。びっくりするのは「ドキッ」、北斗の拳は「トキ」・・・話が脱線しそうになりました。スミマセン。
「ドギ」は正式名を『ノロゲンゲ』と言います。ドギの名前の由来は「ド」は侮蔑を表す接頭語、「ギ」は魚を表す言葉、要するに粗末な魚、どうしようもない、価値のない魚という意味らしいです。
一方、正式名称『ノロゲンゲ』の「ゲンゲ」は「下のギョ(魚)」→「ゲンギョ」→「ゲンゲ」、そして「ノロ」は海底をノロノロと這って動く姿からその名が付いたとの事。ドギ、正式名のノロゲンゲ、どちらの名前の由来を見ても何とも同情以上のかわいそうな名前が付けられたものです。実際ドギ(ノロゲンゲ)は松葉がに漁(底引き網漁)の網にかかる魚で、以前は捨てられていたそうです。
ところが、このドギにも日の目を見る時がやって来るのです。魚体を覆うブヨブヨでトロトロの皮には美肌効果が期待されるコラーゲンが豊富に含まれていることがわかり、2000年前半頃から、主に女性をターゲットにした食材として脚光を浴び始めるようになり、「下魚」からまぼろしの魚、「幻魚(ゲンギョ)」→ゲンゲとオシャレに、魅惑的な漢字で表記されるようになり、セリ場でもよく目にするようになっています。
ドギの美味しい食べ方は、内臓を出して食べやすい大きさに切り煮魚に、また吸い物にすると上品な出汁が出て美味しく頂けます。天ぷらにすれば衣はサックリ、中からはトロトロの身が出てきて、サクッ・トロッの食感が絶妙です。そして干物にしても味わい深いものがあります。干すことで余分な水分が飛び、旨味が凝縮され、噛むたびにドギの旨味が口に広がり酒の肴には最高かと思います。
名前の由来からも、どん底から這い上がってきたドギ、その名はまだまだマイナーかも知れませんが、ドギを食べた翌朝、鏡に映った自分を見ていつになく肌に張りを感じ、「ドキッ」としたのなら、しめたものです。
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