もうすぐ「節分」。暦の上で冬から春になる節目の日を迎えます。節分の日に煎った豆を「鬼は外、福は内」と唱えながら撒く風習は、室町時代から続いているそうです。中国から伝わった邪気を祓うための宮中行事が変化し、一般家庭にも広まったと言われています。
思いも寄らない出来事、地震や洪水など自然災害や疫病は、すべて「鬼」の仕業と思われていたのです。目に見えない恐ろしい存在の「鬼」は、仏教画などの影響でツノと牙がある怖い顔の妖怪としてイメージが根付くこととなりました。
そんな怖い鬼の顔を甲羅にもつカニが存在することをご存じでしょうか。キメンガニ(鬼面蟹)と呼ばれる、ヘイケガニの一種です。甲羅にある凸凹が、目を大きく見開きこちらを睨んでいる鬼のように見えるのです。甲羅は3cmほどで決して大きくはないのですが、海の中から怒った顔が出てきたら驚きますね。
photo by wikipedia (撮影: )
キメンガニの絵を戸口に貼ると厄除けになったそうですよ。護符と同じ扱いでしょうか。カニの甲羅に鬼の顔を描いて魔除けとして飾られる地域もあるようです。流石に新型コロナウイルス感染症の流行が鬼の仕業とは思えませんが、出来るだけ早く収束してくれることを願わずにはいられません。
カニは古来より縁起ものと言われています。茹でた松葉がにの「赤」は、病が去る魔除けの色。勝利を導き、運を招きよせる生物とも言われています。縁起の良いカニたちがまだまだ中村商店の店頭には並んでいます。